子供の教育の為、お箸をお仏壇に置いていた時代

お箸の起源

お箸の明確な起源はわかっていません。

日本では、遣唐使が唐で2本に分けられたものを箸として使っているのを見て、日本に持ち帰り朝廷の食事に取り入れたと云われています。

また、神事に使われていたと云われる木をピンセット状に加工したものが正倉院に保管されています。

お箸と仏教

仏教で有名なお箸のお話といえば、3尺3寸箸です。

これは、地獄と極楽に見学に行った男の話です。

地獄では、粗相な食事しかないだろうと思った男がいざ地獄まで行くと、とても豪華な食事が並んでいて驚きました。

しかし、1メートル以上もある箸を使わないといけないので、自分の口に運べず、食事ができないので苦しんでいました。

その後、極楽まで行くと、極楽の食事風景も地獄と同じだったのですが、異なる点は、長い箸を使いお互いに食べさせ合っていました。

相手を思いやり食事を運ぶと、自分にも返ってくるという思いやりの心があることで、幸せは自分と他者の間に成立するというお話です。

日本ではお仏壇に箸置きを置く風習があった

香川県の仏壇屋 岩佐一史氏に聞いたお話ですが、昔日本の一部の地域ではお仏壇に箸置きを置いていたそうです。

これは食事をする時にお仏壇に必ず手を合わせて箸を取り、食事が終わると、またお仏壇に手を合わせるということで、子供に感謝の心を教える為であったそうです。

浄土真宗本願寺派では、食事の時に下記のような言葉があります。

感謝の心を、如何にして次の世代に繋げるかという先人達の智恵でもあります。

 〔食前のことば〕
(合掌)
●多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。
○深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。

〔食後のことば〕
(合掌)
●尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。
○おかげで、ごちそうさまでした。